20130630

(終業後、食堂)


沙織:いや~、あこちゃん何だか申し訳ないね!ホントにここでごちそうしてくれるの?

あこ:は、はい……

千雪:暇ですし、言われるがままに付いてきましたけど…一体なんなんですの?

沙織:いやね、前にあこちゃんのお昼のお弁当、ちょっとつまませてもらったら
   爆発級にウマくってねえ!訊いたら全部手作りだっていうから、
   冗談半分でごちそうしてよーって言ったら、作ってくれるっていうからさー!

千雪:爆発級…それは何だか気になりますわね。

あこ:そ、そんな…言いすぎです。ただの、よくある和食ですよ。

沙織:いいじゃんいいじゃん和食!和食大好き!
   旦那はほとんど洋食とスゥィーツしか作らないから和食に飢えてんのあたし!

千雪:お食事、旦那様が作っているの?
   沙織さんが自分で和食を作ればいいのではなくて?


沙織:∑( ̄□ ̄;)い、いいじゃんあたしが作るより奴が作った方がウマいんだもん!
   おいしいの作れる方が作る方がいいんだってば!

あこ:あ、あの、それじゃちょっと作ってきますので、少々お待ちくださいね。
   下ごしらえは、昼休みのうちにしておきましたので、
   そんなに時間はかからないかと思います。


千雪:そういえば、食堂勝手に使ってしまって大丈夫ですの?

沙織:だいじょーぶだいじょぶ!
   前もってあたしが
蔦子ちゃんに許可取っておいたから!















あこ:……できました! そちらにお持ちしますね。
   (お盆に入れて、厨房からいそいそと運んでくる)

沙織:おお~~!いいにおい!

あこ:まずは、里芋の煮ころがしと、鯖の味噌煮、
   あとは家から持ってきた大根の香り漬けです。


沙織:(大根の香り漬けを一口ぽりぽり) 
   うぉぉおお~~!うまあああ!!!
   あとひくおいしさ!やめられない止まらないとはまさにこのこと!

千雪:……!! とってもいいお味だわ……(それだけ呟いて無言で食べ続ける)

あこ:あとは、きんぴらごぼうと、だし巻き卵、筑前煮です。
   ほんと、ありきたりのものばかりですけど…

   たくさんあるので、お気に召したらお持ち帰りください。

沙織:うおはああああああ!!どれもうますぎいいい!
   お気に召すどころか、持ち帰って転売してもいいレベル!!

千雪:転売は失礼ですわよ沙織さん…

沙織:冗談だっての!売り物になるくらいウマいってこと!!

千雪:私も少し持ち帰らせて頂こうかしら…それと、千歳さん。

あこ:はっ、はい?

千雪:今日のお料理のレシピを教えていただけるかしら?

沙織:お?千雪ちゃん自分で作るん?

千雪:いえ、うちのシェフに作らせてみようかと

あこ:Σシェフ!? そ、そんな、ただの普通の和食ですよ!?

千雪:こういった基本中の基本の料理をとても美味しく作るというのは、
   プロにはとっても大事なことだと思いますもの。
   千歳さんを見習わせて、うちのシェフの腕の再確認をですね…

あこ:あわわわわわ……

沙織:それにしても、あこちゃんマジ料理上手だねえ!お料理学校でも行ってたの?
   それともお母さん直伝とか、自己流とか?

あこ:お料理を含む家事全般は……花嫁修業として小さな頃から学ばされてましたので……

沙織:花嫁修業!すげーわー!
   あたしも結婚したけどそんなんやったことないわ!www

   あこちゃんならすっごいイイ奥さんになれるね!
   あこちゃん嫁にする男がうらやましーわ!

あこ:………!

沙織:それとももしかして、もう既にイイ相手がいたりして?(にやにや)

あこ:あ、あの……その、い……

沙織:そーだよねそーだよね!あこちゃんだってイイ年頃だもん!いないわけがないか!
   どぉれどれ~、おねーさんに聞かせてごらん~?恋の相談なんでも来い!

千雪:……沙織さん、そんなに深く追求しない方がいいんじゃなくって?
   千歳さん、困ってらっしゃるわよ。

沙織:(≧▽≦)えー! 女同士集まったらすることと言ったら、やっぱ恋バナっしょ!
   ねーねーあこちゃん、相手どんな人なん!?
   代わりにウチの旦那の話でもするからおせーてよー!


千雪:旦那様のお話って……ただ単にのろけたいだけなんじゃ……

あこ:……………

沙織:……………黙っちゃった(´・ω・`)

千雪:ほら見なさい。完全に困らせてしまったでしょう。

沙織:……ご、ごめんね?あこちゃん。
   なんか事情もあるだろうし無理矢理訊くもんじゃなかったね!


あこ:あ、あの………正直に話しても、いいでしょうか………

沙織:(゚∀゚)! どうぞどうぞ!

あこ:………
   (首から下げていたネックレスを取り出す。トップにシンプルな指輪がついている)

沙織:それ………

あこ:……あの……私、結婚してる……してた、んです。

沙織千雪:!?

あこ:相手は……営業部の、泉…課長の、お兄さん、でした。

沙織:! なるほど……そうだったのかあ、
   なんか、あこちゃんと
照美ちゃん、前から知り合いっぽい
   空気があったけど、どういう関係?とも訊きづらかったしなぁ。

千雪:でも……「でした」ってことは……

あこ:は、はい……夫は、4年前に事故で亡くなって……しまい……ました……

沙織:( ̄□ ̄;)……!!
   ご、ご……ごめん!そんな事情があると知らず無神経に突っ込んじゃって…!!

あこ:……いいんです。普通の23歳の女性なら、恋愛話なんて、
   ほんと、普通でしょうし……


沙織:(なんかこの空気、妙にデジャヴすると思ったら、カズくんの逆パターンか…!)

あこ:……私、夫が亡くなって4年間、何もかもから目を背けて、
   ずっと塞ぎこんでいたんです……
でも、それじゃだめだって、
   気付かせてくれたのが、照美さ……南十字部長、でした。


沙織:な、なるほどぉ。さすが照美ちゃん……

あこ:ちゃんと前向いて生きよう、って……
   夫を、忘れることは、できないですけど……
(指輪見つめながら)

千雪:別に、無理に忘れようとしなくても、良いんじゃなくって?
   旦那様の思い出を抱きつつ、自らの幸せを探すと良いですわ。

沙織:そーそー!ぶっちゃけ言っちゃうと、
   うちの旦那も前の奥さんを病気で亡くしてるんだわ。

   でも今でも堂々と言うもんね、前の奥さんもあたしも好きだって!(≧▽≦)きゃー

千雪:またさり気なくのろけてますわね……

あこ:! 桐島さん(=沙織)の旦那さんも………
   ………あっ……あのっ!桐島さん!

沙織:なに?

あこ:桐島さんの旦那さんって……あの、確か、この会社にいらっしゃるんですよね?

沙織:あれ?会ったことないっけか。そーいやあこちゃんはまだ新人だし
   開発企画会議に出ることもないし、会う機会もなかったかー。
   開発研究室の主任やってるよ。メガネかけてるからすぐわかるよ。

千雪:そこ判断材料なんですの !?

あこ:あの……
   桐島さんの旦那さんと、ふ、ふたりで、お話させてもらえないでしょうか……!






(つづく?)