20120212

(2月14日、夕方。資料室に資料を戻しに来ている西城寺初南賛)


初南賛:うぅ…寒いなぁ……この資料しまったらさっさと帰ろう…
    というか…尋常じゃない寒さだなぁ、今日…
    天気予報じゃ今日はそこそこ暖かくなるって言ってたのに…
    …………
    な、なんか……冷凍庫でも開けたかと思うような冷気が、背後から…?

    (振り向く)

    何も無い……別に……通気口とかあるわけじゃない、しなぁ……
    (前を向いて棚に資料を戻しはじめる)

氷雨:…………………(ものすごい形相で初南賛の背後に隠れてる)

初南賛:…………やっぱり寒い―――――― !?(また振り向く)

氷雨:(すばやく隠れる)

初南賛:…………??

氷雨:(ま、まずい…緊張してつい冷気が出てしまう……
   と、というか隠れてちゃダメなのに……し、しっかりしなきゃ朝霧氷雨!
   たかがチョコレートひとつをあの男に手渡すだけの仕事……!
   な、何を恐れる必要があるというの……)

初南賛:朝霧さん?

氷雨:ぎゃ―――――― !!!!
   見つかった―――――― !!!!

初南賛:ちょ……そんな化け物でも見たかのような大きな声出さないで!

氷雨:み、見つかっ……きゃっ!
   (慌てて走り去ろうとするが、足がもつれてずっこける)

初南賛:大丈夫?(嫌がられるのは分かっているので手は貸さない)

氷雨:べ、別に……ちょっとびっくりしただけだし……

初南賛:(ちょっと、ねぇ…………ん?)


(立ち上がった氷雨の足元に、
かわいくラッピングされたプレゼント箱がひとつ落ちている)



初南賛:足元、なにか落ちてるけど。

氷雨:……え? う、うわぁあああああっ!(慌てて拾い上げて背中に隠す)

初南賛:(……あぁ、そういえば今日ってバレンタインだっけ。忘れてたな…
    彼女がチョコ持ってるなんて意外だな。ま、女の子同士で交換でもするのかな)
    じゃあ僕、職場に戻るから。そこどいてもらえるかな。

氷雨:……………

初南賛:………?

氷雨:……………(無言で箱を差し出す)

初南賛:………え?

氷雨:……ご、誤解しないで……し、仕事だから……上からの命令だから !!
   ホントはこんな、男にチョコあげるとかいうふざけたイベントに参加なんて
   するつもりこれっぽっちもないんだから!

初南賛:……え、こ、これ……僕に !?

氷雨:今年のバレンタインの社内企画で…
   女子社員は必ず誰か一人の男に、チョコを渡すっていう…

   ただ、それだけだから……。

初南賛:へぇ……そんな企画があったとは……。というか、なんで僕に?
    普段仲良さそうにしてる青木さんにでもあげればよかったのに。

氷雨:青木さんは、男じゃなくてロボだから…。

初南賛:(やっぱりそういう認識なのか。。)
    特に……僕なんて、君にとっちゃ、とっつきにくいだろうに。

氷雨:うん。だから。

初南賛:(はっきり言う子だな……って、とっつきにくいのに何故?)

氷雨:あなたはこの間、女の子が嫌いだって言った。だからあなたにした。
   女の子が嫌いなら……わ、私を、変な目で見たりしないでしょ。

初南賛:(なるほど………ね………)

氷雨:は、早く受け取って!こ、これは義理…
   いえ、義理でもない、
義務チョコなんだから!

初南賛:…義務チョコ………………は、ははっ

氷雨:!?

初南賛:い、いや……なんか上手いこと言ったもんだなと思って、つい……
    (笑顔で氷雨の手からチョコを受け取る)
    ……ありがとう。義理でも義務でも、どんな理由であれ、嬉しいよ。

氷雨:そ、そう…よ、義務だから!上から言われなかったらあげることもなかったし…!

初南賛:ホワイトデーは何が欲しい?

氷雨: !? ―――――― べ、別に見返りを要求しているわけじゃ…!

初南賛:見返りって…ただのお礼だよ。ホワイトデーにお返しなんて普通じゃないの?
    ……いくら女の子が苦手だからって、頂き物にお礼しないほど
    礼儀知らずじゃないよ、僕。


氷雨:………な、なんだっていいわよぅうう……… !!!
   (この場の空気に耐え切れず走り去る)

初南賛:に、逃げ足速いなぁ………