20110213

(2月初旬のとある終業後)


上総:(…ふぅ。今日は沙織さんは残業だし、一人で帰ってスーパーに寄って食材でも…)
   …………ふぐぉっ!?!?

(背後から何者かに口を塞がれ、ものすごい力で誰もいない倉庫へと引きずられていく上総)

上総:ぐ……ぐっ………ぷはぁっ!な、何をするんですか!一体誰ですか!?
   ……って、なりさわぶっぐほぉっ!!(またしても口を塞がれる)

眞妃:大きな声を出さないで下さい桐島主任。

上総:(だったらこんな人さらいまがいの事をしないで下さい、と突っ込みたいけど
   成沢部長のこの…何と言うか、並々ならぬ気迫に何もいえない……)

眞妃:あなたに、絶対に誰にも秘密…で、お願いしたいことがあります。
   会社の人間はもちろん、家族にだって恋人にだって言ったら駄目ですからね!!

上総:ふ……ふほい……(口を塞がれたまま返事)


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(桐島上総の自宅)


上総:………何ていう事をされたから、
   最初一体どんな恐ろしい事を頼まれるのかと思いましたよ………

   まさか成沢部長に、チョコの作り方を教えて欲しいなんて言われるとは……

眞妃:だ……だって、人前で頼むのは恥ずかしいし、誰にも知られたくなかったし…!!
   そ……それに……私が手作りチョコ作るなんて、絶対イメージじゃないし似合わないし……ゴニョゴニョ

上総:別に、誰がどんな手作りしようと恥ずかしい事では無いと思いますよ。

眞妃:う……そ、それに……
   ……お菓子作り教えてくれる桐島主任にだけは言いますけど、

   私、お料理ちょっと苦手で…マニュアル見れば何とかならなくもないけど、
   どうしても納得いく味にできなくて…


上総:お料理の腕に関して、旦那様……明さんに何か言われたんですか?

眞妃:それが…何も言わないんです…何作っても美味しいって言うの…あの人。
   絶対、そんなはずないのに…何か、気を遣わせてしまってる気がして…

上総:(…どうせ明さんのことだから
   「眞妃ちゃんの作るものなら何でも美味しいのンvとかそんな感じなんじゃ…)

眞妃:…結局、最近はお料理以外の家事は全部私がやるってことにして、
   ご飯の支度はあの人に任せてるんです。

   あの人の方が断然、美味しく作れるんですもの……

上総:そんなに、深く考えなくてもいいとは思いますけどね…。

眞妃:で、でも、今年のバレンタインくらいは…
   何かひとつ、素敵な手作りのチョコをあげようと…

   でも最近、逆チョコとかいうのが流行ってるでしょう?
   そのせいでここ毎年、あの人の方から
完っ璧に素晴らしい手作りチョコ
   渡してくるんですよね……


上総:はぁ…明さんらしいですね(笑)

眞妃:バレンタインって女が主役なのに、何か悔しいじゃないですか!
   だから今年こそはこっちから完璧なチョコを贈ろうと……思って。

上総:それで僕に…ですか。

眞妃:だってどうせなら一番いい先生に教わりたいですし。

上総:だからってあんな人さらい……うん、まぁ、いいや。言えない。)
   ところで、成沢部長。


眞妃:何です?

上総:さっきから力いっぱいかき混ぜ過ぎてチョコが殆ど飛び散ってるんですが……

眞妃:え?きゃああああっ!!チョコまみれ!
   ぶつぶつ考え事しながら話してたから……つい……

上総:そんなに力入れてかき混ぜなくても、少しずつ湯せんで溶かして行けばいいんですよ。

眞妃:う~~ん……私、料理するとどうしても力入れすぎちゃうんですよね…
   食材を包丁で刻もうとしても、気づいたらまな板まで刻んでたりとか……。
   ほんと、おっちょこちょいというか不器用というか……。

上総:(………。。。それはおっちょこちょいでも不器用でもなく
   とりあえず
常人にはありえないです……
   ……と、とりあえず、そろそろ大体溶けましたかね。
   そうしたらこの型に流し……
ぶ!!??
   ちょ、ちょ、ちょっと成沢部長!? 何してるんですか!?

眞妃:え?チョコが飛び散って減っちゃったからお湯足して量を元に戻してるんですけど。

上総:その発想はどこから来たんですか――――!!
   チョコと水分を混ぜたら駄目ですよ!何のために湯せんで溶かしたんですかー!

眞妃:ええっ?混ぜたら駄目なんですか?お湯ならチョコも固まらないしいいかと思って…
   あっ、そうだ、アーモンドを砕いたやつを入れないと……きゃっ…!



 ガッシャ――――――ン!!!























” ピンポ~ン ”


沙織:う~~~~寒い!寒い寒い寒い!もう勝手に入るよっ!(カギは持っている)
   なんでインターホン鳴らしたのに出てこないのさー………ん?


(床に落ちていた調理器具を踏んで転んだ眞妃が持っていたお湯入りチョコが入ったボウルは
 無残にも上総の顔に直撃、眞妃は尻もちを付いて頭を抱えている)



上総:(しゃべれない)

眞妃:え……ええっ!?あ、蔵石さん!?
   あ、あのこれは別にやましいこととかそういうことはまず絶対ないですから!

沙織:……うん、まぁ、
   その状況でこれが浮気の現場です、とか言われてもたぶんなんか違う。┐(´д`)┌





(その後眞妃がちゃんとしたチョコを作れたかどうかは、定かではない。)