20100926

(大空が氷雨にフルボッコにされてたその頃……
照美は鏡に囲まれた一室に倒れていた。)



照美:い……痛たたた……なんて荒っぽい研修なのかしら……
   これでもあたしは部長なのよ!?そ
れに、怪我したら労災認定されるんでしょうね!?

久我:”フフフフフ……ようこそ、照美君。 ”

照美:その声は久我室長!随分と荒っぽいマネしてくれたわね!!!
   ましてか弱い女の子のこの私に!!! とっととここから出しなさいよこのハゲ!

久我:”わ、私はハゲてなどいな――――――い!! ”

照美:新人だけど、あたしはこの会社の幹部として選ばれた誇りと自信はあるし、
   たとえキャリアは違っても立場は貴方と同等だとも思ってる!

久我:”お、落ち着きたまえ照美君…… ”

照美:それを同等の立場である貴方に、
   何でこんな試されるようなことされなきゃいけないの!?

   それに同期入社の白鳥部長は無条件免除って、何よそれ!?
   あたしは部長として認めてないってこと!?


久我:”白鳥君は……まあ理由は追々説明するから……というか彼が来ると…… ”

照美:~~~~~ああもうっ!!! イラつくわね!!!! いいわよもう!!!!
   矢でも鉄砲でもなんでも持ってきなさいよ!!!
   あたしの部長としての誇り、見せてあげるわ!!!


久我:”矢でも鉄砲でも、って……そんな手荒な真似、
   「ただの」人間の女性である君にはしないさ……フフフフ ”


照美:………前口上はいいからとっととやんなさいよ。
   あとここ脱出したら貴方をフルボッコにするの決定ね。
   そのヒトを見下した根性、
   細胞レベルから叩き直してやるから。
   まず水晶球で後頭部ぶん殴るから覚悟しときなさいよ。

久我:”(((((((( ;゚Д゚))))))))ガクガクブルブルガタガタブルブル
   (なんでねぎ社の幹部女性は誰も彼もこう怖いのだ!?)
   ……ま、まぁいい。ならばお言葉どおりやらせてもらおう………はぁっ!!! ”






 ピカッ!!!!





照美:きゃぁっ!? 眩し……っ!?

久我:”フフフフフ……これで良し……後は『彼女』に任せるとするか…… ”

照美:え……?何なの……!?
   何も起こらないじゃない!バカにしてるの!?待ちなさいよ!!


??:ごきげんよう。久我室長なら他のアトラクションの様子を見に行きました。
   貴女のお相手は、この私がしますわよ。

照美:誰!? ………って、ええええええええ!!??

(気がつくと照美から少し離れた隣に、ものすごい美女が立っている。
同じ髪色に同じ声。そして何より照美の気にしている外見的短所を全てカバーした外見。)


照美:な……何なの……!? あたしがいつも頭の中で理想としてた女性像のまんまが、
   飛び出してきたような……誰よ、貴女!!!

偽照美:私は、貴女ですわよ?私も、南十字照美です。
    ……ただし、貴女より背は高いし、貴女より胸は大きいし、貴女より美しいし
    貴女よりも年相応に見えますし、貴女が本当は着こなしてみたいと思っている
    リボンのついたドレスもこの通り着こなしますわよ。

照美:ム、ムカつくわね……同じ私なのに私が気にしてるところ…理想としてるものを
   全て持ち合わせてるとか……何の嫌味なわけ!?

偽照美:久我室長の頭脳を持ってすれば、このように理想の自分になるのは容易いこと。
    ……ねえ?南十字照美さん。
    私のような姿に、なってみたいんでしょう?すぐなれますわよ。


照美:そりゃなりたいけど……理想に近づくために日々努力はしてるし。

偽照美:そんな努力なんて、バカバカしくなってきますわよ。
    ……どう?取引しません?


照美:何よ、取引って。

偽照美:久我室長は裏で某ライバル会社と繋がってるの。
    で、貴女にもこちら側に付いてもらいたいの。


照美:あたしに、会社を裏切れと?

偽照美:久我室長はああ言ってるけど、貴女のことは高評価してますわよ。
    ちなみに、某ライバル会社では常務取締役のイスを用意してるわ。
    常務のイス……そしてこの完璧なる美貌!貴女にこの二つをプレゼントしますわ。


照美:('A`)くだらねぇ


偽照美:!?

照美:理想の自分ってのは、自分の力で手に入れなきゃ、何の意味もないわよ!
   そんな胡散臭いネタであたしを釣ろうなんて、甘い、甘すぎるわね!!

偽照美:胡散臭いだなんて…
    貴女も、久我室長の技術の素晴らしさは目の当たりにしてるでしょう?

    あのお方の技術は、胡散臭くも何もない、本物ですわよ?

照美:技術がどーたらこーたらとか、関係ないの!! バッカじゃないの!?
   確かにアンタはあたしの理想かもしれないけどね、
   本当にその姿になりたいとでも思ってんの?

偽照美:え……!?

照美:むしろあたしにとって理想なんてね、永遠に死ぬまで理想のまんまで構わないわけよ。
   理想を追い求めてる間が、一番楽しいんだから。
   それを手に入れたら、そこで終わっちゃうのよ。

   だから、魔法の力も科学の力もなんにも頼らない。
   努力してる今の自分が一番好きなんだから。他の何にもなりたくないわ。
   あと、あたしを部長として認めてくれた会社のことも、
   そう簡単に裏切ったりしないわよ。


   ……わかったら、とっとと消えなさい、偽者!!!








久我:”フフフフフ……お見事。まあ君にとっては簡単なトラップだったかね…… ”

照美:ふん。あたしを誘惑で釣ろうってのが間違ってるわよ。
   もうちょっと人を見て仕掛けた方がいいわよ。

   それに、どーせ貴方が某ライバル会社と繋がってるなんてのも、ウソなんでしょ。
   貴方がこの会社に来た経緯なんて、
   部長に任命された時に事前知識として聞かされたわよ。


久我:”まぁ、私が某ラ社に行くことは、まず無いだろうねぇ…フフフフフ… ”

照美:ところで、合格なんでしょ。とっととここから出しなさいよ。

久我:”(ぎくっ)……お、怒らないかい? ”

照美:結果はどうであれ
   貴方のことは殴るわよ^^

久我:”(((((((( ;゚Д゚))))))))ヒィィィィィィ ”



(続く)